昨日聞いたいい話。

すっぴんの小林信也さんの話が聴き逃しに上がっていたので、ざっくり書き起こしました。

11分頃からです。多少の間違いはご容赦くださいませ。

 

4月9日までは聞けますよ。

 

高校野球は金属バットの使用によって打撃が強くなったという話の流れから)

アナウンサー(以下ア):そういう時代になってくると監督の采配にも大きな影響が出そうですよね。

小林さん(以下小):そうなんですよ。この大会をみていても割と選手に自由に判断させているチームが結果を出しているように思います。

監督がバントにするのか強打にするのか、難しい顔をして考えてらっしゃるチームは、逆に、その、選手にブレーキをかけているっていうか。

ア:自由にやらせたほうが、選手が結果を出している?

小:うん、はい。連打連打っていう、バントで送れば1点は取りやすいですけれども、2点3点を取るのは、当然打ったほうがチャンスがあるわけですよね。

1アウトを相手に与えて、ひとつの累を奪うよりも、ただ強行してダブルプレーというのもありますけれども、まあ、それをかつての高校野球の監督はやっぱり手堅い作戦が、見ているファンの方や応援している関係者の方もどうしてもそういう傾向にあったんですけれども、今はやっぱり打ったほうがいいなと。

で、ぼくは去年まで7年間、中学硬式野球の監督をさせてもらってたんですけど、甲子園にも出ている選手たちが中学時代に活躍していたチーム、リーグですけれども、そこで野球をやっていると、例えば都内の高校野球のチームとやっても大半勝つんじゃないかっていうくらい、強いし選手も成熟しているんですよね。

ア:そういうことから、任せたほうが結果を出せる時代に?

小:中学までは、教える野球っているんですか?監督が指示をすれ野球で、もうそれは十分に日本の子どもたちは、甲子園に出るレベルの子どもたちはやっているので、高校に入ったら自由に、と言いますか主体的に判断させる、選手たちもそれを望んでいるような気がするんですよ。

実際このベスト4まで上がってきたチームの選手たちは、みんなそういうレベルにある気がします。また、監督もそれをわかっているので、そこをうまく選手の力を信じる、判断力を信じるような野球ができているチームが僕は今強いような気がしますね。

ア:他に全体を見ていて新しい動きを感じたものはありますか?

小:前半戦の話題になったのは21世紀枠で出場した膳所高校のデーター野球といいますか、データーに基づいた大胆な守備位置というのがすごく話題になりました。

野球経験のない二人、男子生徒と女子生徒がデーター分析担当でいて、今回は日本航空石川と対戦したんですけれども、秋の大会の映像を入手してそれを徹底的に分析して、どの打者がどの方向に打つか、と。これをまた、ナインがその通りに守ったんですよね。

例えば3塁手がショートぐらいの位置にいて、ショートはもう2塁ベース上に立っている、と。あるいは外野ももうこの選手は右中間に飛ばす、って選手の場合はもう右中間にに立っているんですよ。センターとかが。

で、その通り、あーやられたっていうようなことでスタンドを沸かせたんですけれども、僕これは一つの方向性じゃないかなって思いますね。データーを分析するってことだけじゃなくて、僕も都内の高校でちょっとコーチをした時があるんですけれども、ピッチャーからすると飛ぶ方向って大体わかるんですよ。まあ、100%とは言いませんけれども、このバッターにこんな玉投げたら、逆に言えばここに飛んで、アウトにするっていうような。

つまり野球っているのは、当たり前の場所に守っていてヒットを打たれる競技ではなくて、打球が飛ぶところに立っていればいいんですよ。スタンド超えられるとしょうがないんですけど。

だから、膳所高校はデーター野球というよりも「球が飛ぶところに立ってればいいんでしょ」っていう発想を変えたって言いますかね。こうすると結構保守的な監督は嫌がるんですね。そういう大胆なことをやって、裏を突かれたらいやだっていう監督さんもいるんですけど。

ア:そうですね、外れてしまったら元もこうもないわけですものね。

小:ええ。今回もあったんですよ。セカンドが2塁ベース上に立っていたら普通の守備位置に来たっていう打球があったんですけれど、ものすごく必死になってそれを倒れこみながら一塁送球して、間一髪アウトというシーンがあったんですけれども、これ僕も経験ありますが、こういう守りを自分たちにさせると、僕の場合はデーター野球というよりも『球が飛びそうな場所に思い切って守っていいから』っていう風に選手たちに指示したら、あの、失敗したとき、つまり逆を突かれたとき必死に走るんですよ。普段ではありえない位、あの、必死に走るんですね。

つまり、自分の判断で動いているときっていうのは、エネルギーが出るといいますか、やらされているときよりも「わーまずい、間違ったー」というときに、そしてこう、逆を突かれてもファインプレーでとる、みたいな。

ア:先ほどもバッティングの話と共通するところがありますね。任せられるということでやる気が芽生えるという。

小:そうなんですよ。そうすると、野球が楽しくなってくるという。そうゆう野球、僕はデーター野球をというよりは、やっぱり選手が自分で楽しくなるというような野球をね、やっぱりやって欲しいなぁっていうそういう風に思います。